第5週

8月29日

熱はちゃんと下がったみたい。うん。もう大丈夫だよ!

 

おばちゃんに、朝顔の写真をもらった。
あれ、詩ちゃん、何でフキゲンなの?

   「でも、アンタの好きな花は、ひまわりなんだからね!」

…確かにあの時、そう言ったなぁ。

 

ひみつきちに、お別れの挨拶をしに行った。
ガッツくんの家、ガッツくんが学校を卒業したら、都会に出るみたい。
月夜野から、どんどん人がいなくなっちゃうんだ…。
(それ以前に彼らは月夜野に住んでるのか? この辺、周りに家無さそうなんだけど。毎日、鷺の里から来てるのかもな…遠いか)

 

多分、最後だから。
風の岬に夕陽を見に行った。

 

夕御飯の後。え、ボクに電話?
ボク、弟が出来たんだって! お兄ちゃんになったんだって!
萌ねーちゃんが縁側で、ハッピーバースデーを吹いてくれた。ありがとう!
なんだか、虫の声も、お祝いをしてくれているように聞こえた。

   「しらべも弟、ほしいなぁ。
    誰かしらべにくんないかなぁ」
   「自分で生めば?」(冷たいよボクくん)
   「そんなのイヤよ。しらべはまだまだ
    独身生活を楽しみたいもん

小学生でその発言か。
つーより、自分で生んだらソレは、「弟」ではなく、「息子」だろう。その辺は見なかった事になってるのか。

 

ヒマワリ畑が枯れちゃう夢を見た。
な、何でこんな夢を?

今日のボクくん日記

風の岬の夕陽。…あれ、弟誕生日記じゃないの?

 

8月30日

明日はもう、家に帰る日なんだ…。

 

朝御飯。「ごちそうさま」の前に、詩ちゃんが消えた!
縁側に詩ちゃんのリボンが落ちてた。どうしたのかな。

 

昨日、お別れはしたんだけど、一応ひみつきちに行ってみた。
誰もいなかった。ちぇ。淋しいなぁ。

 

むらさきちゅーちゅーの前で、おじちゃんを見つけた。
詩ちゃん、本格的にいないみたい。
ボクも探すよ。

昨日の夢から。なんとなくそんな予感がした。
ひまわりばたけのど真ん中で、詩ちゃんハッケン!
みんなが心配してるのに、帰ろうとしない。もう、勝手にしろよ!

でも、帰ってきた詩ちゃんに、ひまわりの花束をもらった。
ボクへのプレゼント。このためにあんな遠いところまで1人で行ったんだって。詩ちゃん、ありがとう。

カメラマンになるのをやめて、おじちゃんとこんな田舎に引っ込んできたおばちゃん。
すっごくいい子な娘さん2人がそばにいてくれるおばちゃん。
…うん。おばちゃんのシアワセ、ボクにもちゃんと伝わったよ。

 

萌ねーちゃんが、「詩ちゃんハッケンのお礼よ」って、体操カードにはんこを押してくれた。
8/6の所に、しっかりはんこが。萌ねーちゃん、ありがとう!

 

詩ちゃん。なんか元気ないなぁ。

   「アンタなんか、さっさと帰っちゃえばいいんだ!」

…ガーン!
(いや、意地を張ってる詩ちゃんは、なんか可愛いなぁ)

今日のボクくん日記

詩ちゃんからのひまわりプレゼント。

 

8月31日

朝御飯の後、外からクラクションの音がした。
お父さんが迎えに来たみたい。
1ヶ月ぶりに見るお父さんは、なんだか上機嫌。つーか、上機嫌通り越して、ハイになってた。
おじちゃんもおばちゃんも、萌ねーちゃんもすっごくにこにこして、楽しそうにしてくれたんだけど、お別れはやっぱり、どうしても悲しくって。おばちゃんに抱っこしてもらって泣いちゃった。
ずっと黙ってた詩ちゃんも、なんかビックリしてた。…ごめん。
(すいません。私はこういうシチュエーションに弱いです(涙))

 

大切な宝物を車に乗せて。
ボクも車に乗って。
ゆっくりと車が走り出す。…あ!
詩ちゃんが走って追いかけてきた!
(すいません。私はこういうシチュエーションにやたらと弱いです(大泣))
さよーならー! みんなも元気でね!

 

もうみんな見えなくなって。なんだかやっぱり淋しくて、車の中でうつむいてた。
ボクの手の中には、返し忘れた詩ちゃんのリボン。
後部座席には、昨日もらったひまわりの花。
ふと顔を上げてみる。そしたら、高い木の上から、ガッツくん、ファットくん、メガネくんが。ボクの事を見送ってくれていた。
(すいません。私はこういうシチュエーションに、非常に弱いです(うわーん!))
(つーか、笑わそうとしてるのか私。台無しじゃ!)
どんどん遠くなる、夏休み。ボクのなつやすみ。

これが、この夏の全て。

 

大人になったボクは…。

今日のボクくん日記

みんな大好き日記。

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