甘い一日

もちろんナルルには『バレンタイン』なんてイベントはないんですけどね。
もしこういうイベントが他国から紹介されて、取り入れられたらこんな感じだろう、って感じで書いてみる。
(スイマセン。小ネタのワリに長くなりましたorz)

 

あるイベントの日のスター家

お昼過ぎに一時帰宅しました。

ジャメル
「ただい…うわっ!」
(家中に充満する甘い匂い)
ポーラ
「あっ、おかえりなさーい!」
ジャメル
「…な、何だこの匂い」
ポーラ
「チョコです」(きっぱり)
ジャメル
「頼むから単語だけを言って終わらせるのは止めてくれ。
 お前の事だからどうせ、最近流れてきたイベントにのったんだろうけど、
 あれは『相手にチョコを渡す』だけじゃなかったのか?」
ポーラ
「ウフフ、上級者はダイスキな人に自分でチョコを作って渡すのよ」
ジャメル
「誰が上級者だ、誰が」
ポーラ
「上級者じゃなくても、手作りチョコってなんだかドキドキしますよね!」(ふにゃん)
ジャメル
「ドキドキ、って…。
 で? 作り方はわかってるのか?」
ポーラ
「だ、だいじょうぶです。
 材料を買った時に、ついでに色々と聞いてきました。
 ちゃんとメモも取ってきたのよ」
ジャメル
「ぶっつけ本番か。
 ちょっとそのメモ見せてみろ」
(メモと作業内容を見比べてみる)
「…いきなり色々とおかしい
ポーラ
「ええーっ? ど、どこが?」
ジャメル
「説明するより実際にやった方が早そうだな。
 ほら、貸してみろ」
(ポーラの脇に立って、メモを見ながら作業開始。ワリと手際いい)
ポーラ
(横で見ながら)
「…前から思ってたんですけど、
 ジャメルさん、こういうのすごく簡単にやっちゃいますよね…」
ジャメル
「子供の頃からやっていたからな。
 …見てるだけじゃなくて、こっちを作ってろ」
(メモの一部を指差す)
ポーラ
「あ、はーい」(作業開始)
「でも、私だって移住直後からそれなりにやってますけど、そんなに上手くならないですよ。
 まぁ、前よりは何とかなってる気がしますけど」
ジャメル
「当たり前だ。
 これだけやってるんだから、多少は上達していないと困る。
 キッチンのサイズもお前に合ってない気がするんだが、これは仕方ない。
 後、お前は色々と大雑把なんだ。
 普段はそれでもいいのかもしれないけど、料理の時はもう少し気を使え」
ポーラ
「…難しい事言いますねぇ…」
ジャメル
「何処がだ」
ポーラ
「全部」
ジャメル
「…」(脱力)
「…何処までできた?」
ポーラ
「えっと…うん、終わりました」
ジャメル
(出来を確認して)
「…まあ、こんなもんかな。
 じゃあ後は、このメモの通りに焼けばいいだけだから、残りは自分でやれ」
ポーラ
「ありがとうございます。
 …はー。何かすごいですねぇジャメルさん…」
ジャメル
「オレとしては、お前がいつまでたっても
 色々と残念な事の方がすごいと思う…。
 いいか、メモの通りだぞ。時間もきっちり守れよ」
ポーラ
「はーい」
ジャメル
「ところで…なんか型が多くないか?」
ポーラ
「多くないのよ。4人分だもの」
ジャメル
「4人?」
ポーラ
「ジャメルさんと、アンタレス君と、レグルス君と、私。
 せっかくですから私も食べたいですし」
ジャメル
「そういう事か…。
 後、こっちの大きな袋は何だ?」
ポーラ
「それもチョコです。
 義理チョコなんで、これが出来上がったらみんなに配ってくるのよ。
 とりあえずジョシュアさんとベネット君に絶対あげて、
 お友達のバルトロメイさん、ロゲールさん、ウジェーヌさん、
 クライブさんとマイケルさん、エディさんにエミリアンさんにもあげて。
 友チョコ、って事でリタさんやリリアさんにもあげて、
 それとは別にエルグに来てる皆さんにあげて、後は…」
ジャメル
(頭を抱える)
「そんなに買えるだけの金はあったのか…?」
ポーラ
「困った時は、棚の黄金のワクマを売ったのよ。
 あれだけ売ったのに、まだいっぱいあるのよ」(ホクホク)
ジャメル
「本当にイベントが好きなんだな…。
 まあ、適当にな。
 じゃあ、オレはまた出かけるから。
 後、全部終わったら部屋の空気を入れ替えろよ。いくらなんでも甘すぎる」
ポーラ
「はーい、行ってらっしゃーい!」
(ニコニコと送り出す)

 

ポーラ
(オーブンにセット。
 そして別の場所を見る。まだ普通に残っている材料たち)
「…うーん…」

 

***

 

よるになりました。

ジャメル
「ただいま」(ワリとグッタリしている)
アンタレス
「あっパパ! おかえりなさーい!」
レグルス
「おかえりなさーい!
 …あれ、これ、なーに?」
ジャメル
「…お土産だ」
レグルス
「おみやげ! わーい!」
アンタレス
「開けていい?」
ジャメル
「いいけど、向こうでな」
アンタレス
「やったぁ! レグルス、行こ!」
レグルス
「うん!」
(2人で荷物を持って奥の部屋へ)
ポーラ
「おかえりなさーい。
 …あれ、どうしたんですか?」
ジャメル
「いや…、今回のイベントを甘く見てた…」
ポーラ
「ハイ?」
ジャメル
「このイベントにのったのは、お前だけじゃなかったんだ」
ポーラ
「…?」
(部屋の奥から「わぁ、チョコだ!」という声が聞こえる)
「…あー、あれ、もしかして義理チョコってヤツですか?」
ジャメル
「そうなるな」
ポーラ
「ふーん。
 …誰からもらったんですか?」
ジャメル
「気になるのか?」
ポーラ
「もちろんですよ。
 だって、後でちゃんとお返しをしないといけないんですから。
 ジャメルさんに任せたら、多分お返しなんて考えもしないでしょうからねぇ」
ジャメル
「…」(図星)
ポーラ
「…もしかして、1つくらい義理じゃないのがあったりして」
ジャメル
「義理じゃない、って…。
 それでいいのかお前は」
ポーラ
「思うのだけなら自由ですよ。
 その思いを受け取られちゃうと困りますけど」
ジャメル
「大丈夫だ、それはない」
ポーラ
「そうはっきり言われると嬉しいですよね!(ふにゃん)
 …さて、と。
 アンタレス君、レグルス君、ちょっといらっしゃーい。
 ママからもチョコあげるから」
アンタレス
「ホント! うわーい!」
レグルス
「わーい!」

 

ポーラ
(全員席に着いたところで綺麗にデコレーションされたチョコを出す)
「さぁ、ドウゾ!」
アンタレス
「あっ、きれい!
 いただきまーす!」
レグルス
「…あまーい!」
アンタレス
「おいしいね!
 ママ、すごい!」
レグルス
「すごーい!」
ポーラ
「ウフフ、ありがとう。
 …ホントにすごいのは私じゃないんだけど(ぼそっ)」
レグルス
「?」
アンタレス
(テーブルの上を見て)
「…ねぇママ、何でパパだけもう1つあるの?」
ジャメル
「…」(記憶にない物が渡されているので不安)
ポーラ
「フフ、これは『お礼』なのよ」
アンタレス
「お礼? やっぱりチョコ?」
レグルス
「パパだけ? ずるい!」
ポーラ
「ゴメンね、これは『大人のチョコ』なのよ。
 子供は食べちゃダメなの。
 だから、おっきくなったら、ね」
ジャメル
「おい…」
アンタレス
「大きくなったら僕にもくれる?」
ポーラ
「もちろん!」
アンタレス
「じゃあ、我慢する…」
レグルス
「ぼくもー! ぼくもおっきくなったらくれる?」
ポーラ
「もちろんレグルス君にもあげるのよ。
 だから今日は、これだけ、ね」
レグルス
「うん!
 …おいしかった! ごちそうさまでした!」
アンタレス
「ごちそうさまでしたー!」
ポーラ
「ウフフ、喜んでもらえてよかったわ。
 …さて、私も食べよ。いただきまーす」

 

***

 

子供が寝静まってから。

ポーラ
「今日もお疲れ様でした。
 そうだ、夜のチョコ、美味しかったですか?」
ジャメル
「ああ。結構上手くできたみたいだな」
ポーラ
「それなら良かったです。
 手伝ってもらってよかったのよ」
ジャメル
「…ところでポーラ、『大人の』って、どういう事なんだ」
 (手元にある。まだ開けてない)
ポーラ
「ちょっとお酒を使ってあるんです。
 ね、子供は食べちゃダメでしょ?」
ジャメル
「…そういう事か」
ポーラ
「確かに美味しくできたみたいですけど、
 渡す本人に手伝ってもらっちゃったのはちょっとアレかなぁ、って思って、
 ジャメルさんが出かけてから1人で作ってみたんです。
 だ、大丈夫ですよ? こっちもちゃんと美味しくできたのよ。
 出来上がってから1つ味見もしたから、カンペキです!」
ジャメル
「そうか。
 じゃあ、開けるのは子供が寝てる時の方がいいか」
ポーラ
「そうですね。
 あげられないのに見せるのはかわいそうですし。
 あ、今から開けます?
 せっかくですから、開けたら私にもくださいね。
 …こっちは私の分まで作らなかったんです」
ジャメル
「…わかったよ。
 じゃあ、半分、な」
ポーラ
「嬉しいものは、半分こ、ですね!」

あるイベントの日のスター家・完

 

***

 

作中でポーラ(とジャメルさん)が作ったのは、こちら
残念な娘なので、初回はワリと優しいメニューって事でチョイスしてみました。
にもかかわらず、例によってちょっとアレな感じになりそうだったので、ジャメルさんにソッコーでフォローしてもらいましたけど(笑)。
で、ポーラがその後で作ったのがこっち
こっちの方が難易度高いんですけど、まぁ、1回目でチョコの扱い方がわかってるはずなので上手くいった、みたいなイメージで。

男性の名前が大量に出てきますが、ベネット君以外は全員ポーラの男友達です。(ヒドイ交友関係)
基本的には結婚前に友人関係を結んだ人たちばかりなんですけどね。エミリアンさんだけワリと最近友人になりました。ジャメルさんの友人(親友?)らしいので、ポーラ的にはオットの友人と仲良くなったみたいな感じです。

バレンタインネタと、ポーラよりもさっくり色々とこなすジャメルさんと、2人で並んで作業、みたいなのが書きたかっただけなこの作品(笑)。
書いてる間はシアワセでした!

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