ドラゴンクエスト VIII 空と海と大地と呪われし姫君

機種

PS2

ジャンル

RPG

感想

主人公の青年は馬車で旅をしています。
旅の仲間は、彼を『アニキ』と呼ぶヤンガスと、彼の主人で、どう見ても魔物にしか見えないトロデ。
彼らの馬車を引く美しい白馬を、トロデは「愛しい娘、ミーティア姫」と呼んでいます。
彼らはワケあって、ドルマゲスという道化師を追っています。
町で情報収集をしようとしたのですが、トロデは魔物にしか見えないので、町の人に襲われそうになってしまいました…。
今回のDQは、こんな感じで始まります。

シリーズの他の作品の場合、結構主人公の素性ってわかっていたような気がするんですよ。
某国の王子だとか、勇者の息子だとか。
正式な素性はわからなくても、妹がいるとか、父親と一緒に旅をしてるとか。結構自分の周りの環境を見せられていたような気がします。
あのDQ1ですら、主人公はロトの子孫であると言う「肩書き」がある。
でも今回の場合、それがものすごく希薄です。
おかげで最初は、ものすごく旅に入り込めませんでした。何のための旅なのかわからないのに、本気になんてなれません。
が、物語が進んでいく中で、主人公はどういう立場の人間なのか、トロデは何故馬を娘と呼ぶのか、ドルマゲスとは何者で、何をしたのかが解ってきます。
これが解り始めると、するするするっと物語に入り込んでいけます。
設定を「プレイヤーが経験として」知っていくので、この方向に関しては「やらされてる感」が薄いです。率先して動けます。

 

今までのDQから見た目はがらっと変わり、キャラは等身が高くなり、世界は完全に3D化しました。
街中だけでなくフィールドでも、見渡せばどこまでも世界が広がっています。
(一応方角も表示できるので、どっちに向かっているのかさっぱりわからないなんて事は無いです)

見た目は変わりますが、システムは今までとまったく変わりません。
旧ユーザーも(見た目はともかく)とっつきやすくなっています。
ただしやっぱり、迷子率は上がったような気がしますよ(笑)。

 

兄を殺された娘ゼシカと、修道院の破天荒神官ククールが仲間になり、世界を(…つか、自分らを)救う為の旅は続いていきます。
旅の間に、ヤンガスの過去の因縁とか、ククールと腹違いの兄との確執とかが散々絡んできます。
ゼシカの場合はそれどころではなく、とんでもない事になったりもしますが。
話の流れ的に、ストーリーの中心はククールのような気がしますよホント。ラストのおいしいとこ取りは主人公ですが(笑)。
シリーズを遊んだことのある方なら、なんとなくニヤリとするようなアイテムやイベントも出てきます。ワタクシ、ちょっと音楽で感動しましたし。
で。
エンディングを迎えても、主人公の素性がまったくわかりません。
推測することはできるのですが、確証が無いんですよ。いいのかそれで。
素性は実は、エンディング後にあれやこれやをするとはっきりします。
何故主人公はxxxxなのか、とか、いつもそばにいるネズミのトーポは何なのか、とか、全部説明されます。
そして、これがわかった後にクリアすると、思いっきりエンディングが変わります。
最初のも、こっちのも、ものすごくベタベタな展開で、見ている間本気で顔がにやけました。←アヤシイ

 

作品の中で扱っている物語は、大変重いです。
今までのシリーズと比べて、あまりにもさくさくと人が死んでいきます。
町が壊滅、とかのように「たくさんの人が亡くなった」って感じではなくて、そのものズバリ「○○さんが殺された」って感じで出てきます。
その中には、会った事も無い相手だっていますが、自分たちを助けてくれた相手とか、自分たちの目の前で殺されてしまう方とかもいます。
主人公たち自身も、決してお気楽な状況ではないです。むしろ悲壮感が漂っていてもいいくらいの話です。
でも泣けないんですよこれ。
そこかしこに笑いがちりばめられている挙句、トロデとヤンガスがコミカルなキャラになっているので、主人公に入り込む事はできても、その場に起きている出来事を非道なことだと受け止めきれない。
感情移入しきれない、どこか冷静な自分がいる。
これは賛否両論あると思うんですが。
(これはこれでありだと思うんですがね私は。DQに凄惨な雰囲気は求めてませんし)

 

さて、ここからはネタばれ。エンディングを知らない方はスルー推奨です。
読みたい方はいつものように、反転してご覧下さい。


2種類のエンディングを見ての最終感想。
今回のDQは多少、主人公に恋愛要素が絡んでいたような気がする。
つか、とりあえず姫様からすれば、何となく主人公は特別。
それが恋なのかはわかんないけど、少なくとも心象最悪のチャゴスよりもはるかに上なのはわかる。
主人公サイドは不明。ラヴラヴエンドで指輪を見せに行く時の決意に満ちた顔ですら、「姫様ラヴ」では無く「願うのは姫様の幸せだけ」といった献身、忠誠心の方が上なようにも取れる。これはプレイした人次第でしょう。
そこから結婚まで行っちゃったのがびっくりなんだけど、まぁそうしないとさすがに”チャゴスとの結婚回避”まではいかないからなぁ。
(この時点で主人公、結婚の条件をちゃんと満たしてる事になるんだもんなぁ)


で、うまいなぁ、と思ったのは。
結局どっちのエンディングでも、お互いラヴラヴであるという明確な表現がなかった事。
ラヴラヴエンドの方でさえ、トロデ王は「古い約束なんてどうでもいい。これからの事は2人で決めろ」と言う。
これってつまり、「結婚式自体は”狂言”って事にして、単なる姫君と臣下になってもいい」って意味にも取れるんだよね。
それでいいのかはわからんが。つか、あそこまで盛大にお披露目しているから実際には無理ぽいけど。
本編の方でも特にウザイ事は無かった姫様。たまにしか出てこない挙句、泉に行かなければ必要以上に会う事も無い。
(いや、ああいうタイプがお嫌いな方にとってはウザイ事この上ないのかもしれないんだけど)
(もしくはゼシカ狙いの方にとっては「なんだそりゃあ!」な話なんだろうけど)
(もしかしてククールやヤンガスとオトコの友情まっしぐら…いやいやいやいや)
個人的には、この姫様ならアリかなぁ、と思いました。

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